本社所在地の移転

中国で本社の登記場所を移転するのは難しい。

税制や各種外資規制の緩和を行うため、特区をつくっている地方政府が多い。主な理由は企業を誘致して雇用を創出したり、税収アップを目指すものだ。この優遇を受けるための条件は、会社(本社)をその特区に登記することというものが多い。このため、日本企業ならそこに進出拠点を登記したり、既に事業を行っている中国企業などは実際の事業の運営場所は今のままで登記場所だけ変更することも考える。

が、登記だけ特区内にして、実際の運営場所を異なる場所にするといった「いいとこどり」するのは難しい。

特区は新開発エリアや辺鄙な場所にあることも多く、事業運営するには従業員の採用が難しく、その他事業運営にも非効率が生じる。また、優遇政策を実施する地方政府の目的が経済の活性化であったり、税収の増加であるので、他地域からの「移転」は特に難しくなる。現在の登記場所の地方政府が移転を許さないからである。

「xx市で規制緩和して、外資も事業がしやすくなるらしい」という話はよく聞くが、後々の事業展開もよくよく考えて進出を検討したほうが良い。

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戸口とか社会保険とか

事業推進にあたって人材は重要な「資産」の一つである。中国ビジネスでもそれは変わりない。ただ、中国での人材採用は事業戦略にマッチするかどうかという観点のほかにも留意しなければならないことがある。

地域性である。

中国は、省が異なると、戸籍(戸口)や社会保険の制度も異なる。北京で働いていた人が上海に移って働いても単純には引き継げない。特に、地方から大都市に出てきて大都市の戸口を取ろうとしている人にとっては「どこで働くか」というのは文字通り死活問題になりうる。場所の意味でも、どこに本社のある会社かという意味でも。本社が上海にあるからと言って北京で働いていた人が簡単には転勤できるとは限らない。
また、設立間もないベンチャー企業など中小企業では「従業員が期待する」社会保険料額を納めていないこともある。

良い人材であり、当人も働く気があっても、採用に至らないことがある。

従業員教育の難しさ

ベンチャー企業は人材の力によるところが大きい。ベンチャー企業でなくとも、サービス業などの目に見えないものを製品として提供している企業にとっても人材の差が企業の差になってくる。

国有企業に代わるカッコいい大手企業が出てきたため、中国でも特定の企業で働いていることがステータスになることが出てきた。

が、それでも、大部分のベンチャー、中小企業で働くビジネスマンにとっては、会社へのロイヤリティよりも、自分自身の力を発揮する場、キャリアアップの場として職場をとらえていることが多い。このため、自分自身の力を認めさせるために張り切りすぎる従業員も出てくる。日本的には、まず全体を把握して、会社内やチームでの役割を認識して、ということを期待しがちである。しかし、キャリアアップのために自分の力を示したい、示さないといけないと思っている従業員にとっては全体の和を乱しても自分の力を示す必要がある。長期的に見て貴重な経験ができている若者も、目に見える形でのキャリアアップが見込めない場合は、すぐに転職を考えてしまう。

従業員の目的と業務をうまく組み合わせて指示を出すことができるか、中国ではより重要な観点である。