価値提供できるかどうか

市場規模とか市場の成長性とかももちろん大事ではあるのだが、やはり一番大事なのはきちんと価値提供できるかという点。

ターゲットとする顧客に対してきちんと価値提供できればビジネスとして生き残っていけるし、成長もできる。価値提供できているかどうかは、提供する側が決めるものではなく、受け取る側が決めるもの。きちんと顧客の声や反応を見て、価値提供ができているかを計測しなければならない。

時には、顧客が必要としているものを顧客自身が認識していないかもしれない。顧客が価値だと思っていることが、本当は大した価値が無いかもしれない。それでもきちんと価値を見極め、提供して、それに対して価値があることを認識してもらう。

価値提供をしたうえで、中国という高成長、大規模な市場であれば、さらにそのビジネスの成功確率は高まっていくし、ビジネスの成長スピードや規模も日本の比ではない。土台にあるのはやはり価値提供できるかどうか。

2線級都市はまだまだいける

中国での事業展開というと、北京、上海など1線級都市がすぐに思い浮かぶが、主戦場はその次の2線級都市と呼ばれるところ。

2線級と言っても数百万人規模の都市であるし、十分な規模はある。一方、1線級都市ほど飽和感は無く、まだまだ伸びている途中の市場でもある。中国の企業であってもまだまだ開拓中の市場。1線級都市に隣接している都市も少なく、高速鉄道で数時間や飛行機に乗っていくような場所もある。単独の市場としてやっていかなければならないローカルサービスも多い。

日本企業にとってファーストターゲットを2線級都市に定めるのは難しいし参入決断もしにくい場所ではあるが、2線級都市はまだまだチャンスがあるし、3線級都市でも数十万人規模の市場であるからなおさらチャンスがある。

した方が良いことはやらない

事業開発、特に中国での事業開発については、しなければいけないことに集中し、した方が良いことはやらない決断が必要。

市場の変化は大きいし、日本での想定が通じないことが多い。そうした状況下では、あらゆる想定をして計画通りに進めていくことは不可能に近い。それならば、しなければいけないことが出てきたときに、その事柄にいかに早く適切に対応するかを考えたほうが良い。

詳細な市場調査より、実際に売る。売ってみればどれくらいのニーズがどこにあるか分かる。完璧なプロダクトを作るより、まずテストでもなんでも市場に出してみて問題が出たら修正したほうが、マーケットニーズに合った商品を作ることができる。真似されない対策をあれこれ考えるより、真似されたらどうするかを考える。

もちろん、今、対峙している事象がしなければいけないことなのか、した方が良いことなのか、その判断については、経験や知見も必要になる。そうした知見を基に、的確にしなければいけないことに集中しなければならない。

デジタル、シンプルなインセンティブ設計

中国でビジネスを作っていくとき、極力デジタルなシンプルなインセンティブ設計にしたほうが良い。

日本本社からすると距離も離れるし、文化も違う、管理する側は時には中国ビジネスを知らないこともある。そうしたときに定性的な要素の多い評価方法や、無理に細かいインセンティブ設計にしてしまうと、実情に合わせた事業運営ができないばかりか、日本本社と中国現地ビジネス担当者との間での齟齬が大きくなってしまう。攻略すべきは中国市場なのに、その前の戦略立案や方針策定で疲弊してしまう。

わざわざ中国でビジネスをすることを決めたのだから、小さなビジネスではなく大きなビジネスを作ろうとしているはずである。その時には大きな方向性やターゲットとするマーケット像を定めればよく、細かいステップ論はその時々で対応・修正すればよい。

情報収集としてのファンド投資

市場調査というと、いわゆるコンサルティング会社を雇ったりして、調査を行う。目線を少し変えて、ビジネスチャンスを探るためにファンドに投資するという方法はどうだろう。理にかなっているし、効率的でもある。

ファンドは投資してキャピタルゲインを得ることが目的なので、投資家の興味領域のみに投資をしてくれるわけではない。それでも、投資を通じた情報収集というのは効率的である。投資家には日々投資案件の相談がやって来るし、投資可能性の検討ということであれば会ってくれるベンチャーや企業も多い。

ファンドを選ぶときには、その運用能力の高さや、投資期間中の投資家対応の良し悪しをきちんと見なければならない。最低投資額の設定をしていたり、決まりきった定期報告しかしないファンドもある。一定期間資金を寝かせる余裕も必要になる。

そうした見極めをきちんとしたうえでファンド投資すれば、ビジネスデベロップメントの役に立つし、ファンド期間終了後にはフィナンシャルリターンも期待できる。

インセンティブ設計

中国ビジネス担当者と、その担当者が中国国内で実際に事業運営をしていくうえでのインセンティブは異なる。

中国ビジネスを構築しビジネスを大きくしていこうという大きな視点で見ている担当者にとっては、目の前の一つの契約を獲得するモチベーションは大きくないかもしれない。その契約獲得ができないのではなく、それをすることは中国ビジネス構築担当者の役割ではないから、それを自分がやってしまってはビジネスが広がらないことを知っているから。

それぞれの階層でのインセンティブ設計が重要であるのに、多くの日本企業できちんと設計されず、戦略構築もその執行もごちゃまぜにして担当者に割り振られている。

ベンチャー起業家の事業計画

ベンチャー企業の事業計画は大部分が創業チームの「想い」。何年も同じ事業をやってきた大企業の事業計画とは違って全ての前提が大きく変わりうる。

そうした中で、創業チームから出された事業計画をどう読み解くか?

全てが変わりうる前提で、それでも創業チームとして何をKPIにしているのか、それがどう変わる可能性があって、変わった時の対応策が見えているか?

大きなビジョンを持って起業しているはずのベンチャー企業だが、単なるビジョン以上の細かい計画、ステップがあるか、二手先まで見てるのか三手先まで見ているのか。そうした起業家を見きわめるのが投資前のDDの一つ。

ビジネスリスク感度

中国でのビジネス上のリスクと日本でのビジネス上のリスク。言葉は同じだが、地理的な違いで意味は異なる。そのリスクを見る立場が違えばその意味は異なる。

単なる「中国ビジネスリスク」として思考停止してしまうか、それをきちんと紐解いていくか、それにより対応策は増えていき、取れるリスクの幅は広がる。「中国ビジネスは怖い」「中国は分からない」として、「やらない」とか「もっと調査してから」と判断することも可能だが、それによって失っているビジネスチャンスをきちんと評価したほうが良い。

中国市場は大きいし、今なお成長している。ビジネスで儲けたいという感覚は何ら日本のビジネス界と変わらない。リスクとチャンスをきちんと評価しなければならない。

中国ビジネスで刻むとは?

ビジネスの規模や成長スピードが異なる中国において、日本の感覚でビジネスのステップを刻んでGo/No Goを判断するのはすごく難しい。

市場調査やその延長で少しずつリスクを取りながらビジネスを大きくできれば、リスクをコントロールしながら事業運営していることになる。半年やってうまくいけばさらに半年分の事業予算を賄う、100ユーザー獲得したらプロダクトをさらに充実させて1,000ユーザーさらには1万ユーザーを目指す。

考えとしては分からなくはないが、最初の半年も100ユーザーも、結局は将来の1~2年や1,000~1万ユーザを目指しているからできること。ビジネスステップを刻んでいるつもりが結局は大きなビジネスのコミットをしてることになる。長期のGo判断をしなければ結局短期Goもできない。

中国でビジネスをすると決めている以上、ある程度のリスクをすでに織り込んでいることを認識しなければならない。

日系からローカルへの罠

中国進出する際、日系企業を先に攻め、商品・サービスを磨いてからローカル企業へ進出していくというパターンが考えられる。

が、業界、プロダクトによってはこの方法が使えないことがある。

変に日系企業向けに商品・サービスを磨いてしまうと、ローカル企業のニーズには合わない可能性がある。日系マーケットは入りやすく一見魅力的に見えるが、自身の商品・サービスの将来的なポジショニングをきちんと見定めて、顧客ターゲットも決めなければいけない。