DCFよりマルチプル

ベンチャー企業のValuation(企業価値の評価)は難しい。

一般的には、企業価値算出にあたってはDCF法が理論的と言われるが、変数が多く、変数を少し変えるだけで結果が大きく変わってしまう。5年先はおろか、1年先だって分からないベンチャーに対して「正確に」仮定を置くことはほぼ不可能。

なので、マルチプルでざっくり、が「正しい」方法となる。それですら、将来Exitの際の売上や利益、株式持分を仮定しなければならず、さまざまな計算結果が出てきてしまう。

Exit時の想定のValuationを算出して現時点のValuationに割戻し、今回の出資額との見合いで持ち分比率が適正かどうか。あまりにValuationを高くし過ぎると次の資金調達ラウンドを難しくしかねない。低く評価してしまうと、創業チームの持分が減ってしまい、モチベーション維持に影響が出る。

マルチプル法を使いつつ、様々な観点からValuationの妥当性を検証しなければならない。

Valuationと資金調達額

ベンチャー企業にとって、Valuationは高く資金調達額も多く、が理想だろう。

資金調達額がValuationに比して大きくなり過ぎれば、事業運営の資金的余裕は出来るが、創業メンバーの持株比率が小さくなってしまい、その後さらに企業を大きくしようというインセンティブが少なくなってしまう。

Valuationが高くなりすぎれば、その資金調達ラウンドに参加する投資家が少なくなってしまうとともに、その次のラウンドへのプレッシャーを高めてしまう。

その都度都度の資金調達ラウンドにおいて、適切なValuationと資金調達額を決めるのは創業メンバーにとっても、投資家にとっても重要な業務。

重要なのはチームの執行能力

投資家がベンチャー企業を見るとき、重視するものの一つが創業チーム。

そのベンチャー企業のビジネス自体変わり得るがチームはなかなか変わらないから。そして、絵空事に思えるような壮大な事業計画を実現することはそのチーム力にかかっているから。

Execution能力「も」持つことは事業計画を作ることよりもずっと大切。

20倍になるかどうか

VCという投資家の立場からベンチャー企業を見ると、その価値が20倍になるかどうかが重要。IRR30%や50%を達成するにはそれくらいのホームラン投資案件が必要。

売上やユーザー数が10%や20%の成長ではなく、5倍、10倍と増えていくと思えるかどうか、そういうサービスを作り出しているかどうかを見極めている。