Valuationの重要性

個人や気心の知れた少人数でVCを運営しているのであれば合意がとりやすいが、CVCなど大企業のベンチャー投資チームが「まじめに」Valuationをし始めるとそれだけで一大仕事になってしまう。

投資する際のValuationは非常に重要である。

投資時の持分比率を決めることになるし、次のラウンドにも影響するし、持分比率を通じてExit時のリターンにも影響してくる。

が、詳細に検討すること、より正確に計算しようとして時間を費やすことが投資全体にとって良いことかどうかは別問題。

日系からローカルへの罠

中国進出する際、日系企業を先に攻め、商品・サービスを磨いてからローカル企業へ進出していくというパターンが考えられる。

が、業界、プロダクトによってはこの方法が使えないことがある。

変に日系企業向けに商品・サービスを磨いてしまうと、ローカル企業のニーズには合わない可能性がある。日系マーケットは入りやすく一見魅力的に見えるが、自身の商品・サービスの将来的なポジショニングをきちんと見定めて、顧客ターゲットも決めなければいけない。

WeChat ID

直接ネットビジネスではなくとも、ネットと関わらないビジネスなんて無いし、名刺交換代わりにWeChat ID交換だし、中国ビジネスでWeChatをやらない理由が無い。

データファイルの交換や決済サービスははもちろんのこと、WeChat自体も様々な機能を提供し続けており、ますます便利になっている。簡単な議論なら仕事でもWeChat上のグループチャット機能で済ませてしまうことも多い。

DCFよりマルチプル

ベンチャー企業のValuation(企業価値の評価)は難しい。

一般的には、企業価値算出にあたってはDCF法が理論的と言われるが、変数が多く、変数を少し変えるだけで結果が大きく変わってしまう。5年先はおろか、1年先だって分からないベンチャーに対して「正確に」仮定を置くことはほぼ不可能。

なので、マルチプルでざっくり、が「正しい」方法となる。それですら、将来Exitの際の売上や利益、株式持分を仮定しなければならず、さまざまな計算結果が出てきてしまう。

Exit時の想定のValuationを算出して現時点のValuationに割戻し、今回の出資額との見合いで持ち分比率が適正かどうか。あまりにValuationを高くし過ぎると次の資金調達ラウンドを難しくしかねない。低く評価してしまうと、創業チームの持分が減ってしまい、モチベーション維持に影響が出る。

マルチプル法を使いつつ、様々な観点からValuationの妥当性を検証しなければならない。

Valuationと資金調達額

ベンチャー企業にとって、Valuationは高く資金調達額も多く、が理想だろう。

資金調達額がValuationに比して大きくなり過ぎれば、事業運営の資金的余裕は出来るが、創業メンバーの持株比率が小さくなってしまい、その後さらに企業を大きくしようというインセンティブが少なくなってしまう。

Valuationが高くなりすぎれば、その資金調達ラウンドに参加する投資家が少なくなってしまうとともに、その次のラウンドへのプレッシャーを高めてしまう。

その都度都度の資金調達ラウンドにおいて、適切なValuationと資金調達額を決めるのは創業メンバーにとっても、投資家にとっても重要な業務。

WeChatへの最適化

中国版LINEと言われるWeChat。

だが、LINE以上にユーザー数もあるし、様々な機能を次々と開発してどんどん便利になっている。中国でネットビジネスをする場合にはWeChatとの連携を前提にした機能開発や最適化したサービスを考えたほうがうまくいく。

Tencentも自身の経済圏を広げていくためにWeChat関連のサービスには積極的に投資している。ベンチャー企業にとってもTencentからの出資受け入れが更なる成長につながっていく。

中国ビジネスなのか新規事業なのか

新規ビジネスの観点から中国ビジネスを評価、推進する。

中国ビジネスの難しさ、と思っていることが、実は日本でビジネスを行うことと同じ論点のことがある。

日本で行っていたことを中国でも展開する。一見、中国ビジネスの論点をつぶさないといけないように思うが、実は日本で新規事業展開するときに解決すべき課題と大差はない。

新規事業をやってきた人材であれば、中国経験が無くても中国ビジネスで成功する才能のいくつかは備えている。新規事業をやったことのない人は、新規事業の課題と中国特有の課題をごっちゃにして、全ての難しさを中国の責にしてしまう。

重要なのはチームの執行能力

投資家がベンチャー企業を見るとき、重視するものの一つが創業チーム。

そのベンチャー企業のビジネス自体変わり得るがチームはなかなか変わらないから。そして、絵空事に思えるような壮大な事業計画を実現することはそのチーム力にかかっているから。

Execution能力「も」持つことは事業計画を作ることよりもずっと大切。

20倍になるかどうか

VCという投資家の立場からベンチャー企業を見ると、その価値が20倍になるかどうかが重要。IRR30%や50%を達成するにはそれくらいのホームラン投資案件が必要。

売上やユーザー数が10%や20%の成長ではなく、5倍、10倍と増えていくと思えるかどうか、そういうサービスを作り出しているかどうかを見極めている。

オンラインからオフラインへ

これまでの中国のネット企業は素早くネットサービスを開発し世に出し、とにかくユーザー数を稼ぐべくマーケティング費用に膨大なお金を投じていた。ユーザー数が増えれば、それを価値として見てくれる投資家がいたから、資金調達をすることでまたユーザー数獲得競争に乗り出せた。そして新たに増えたユーザー数をアピールしてまた資金調達し、ユーザー数獲得にお金を使い。。。

そういうネット企業が最近はオフラインの営業チームを作ってユーザーを増やし始めている。オフラインだけだとユーザーのスイッチングコストが低いが、オフラインでのつながりができるとユーザーによるサービスへの依存度がより高くなる。別の競合サービスへの流出も防げる。